眠れないから書いた
芒野
葛原りょう
まだ
まだだ
俺は
やられんよ
風が
ひとときの
永遠を
ゆっくり解体してゆく
俺は五感を召しいても
なお
折れ曲がった右足を運ぶ
草深い荒野が寝床
なあ
お前は
お前をだけ相手にしていたかい?
どうして
ひとの気を惹こうと
おどけたりするんだ?
悪い癖だ
誤解を生む癖だ
寒い
寒すぎる部屋じゃないか
灯かりだけが眩しい
ひとりを照らすだけの部屋じゃないか
もう
いい
いいから
眠れ
* *
儚くも一日が暮れようとするとき
冬は乾いてひと気を奪う
在りし侠気は五臓に一部
四分の情けは風になる
まっかっかっか冬の黄昏
一番星が見える頃
どこかで赤ん坊の声がする
うぎゃあ おぎゃあと
騒がしい
その声をば抱きしめる
まっかっかっか大動脈の
俺の血潮よお日さんになあれ
月が辺りを暴くころ
薄汚れた眼が歩いている
そろ
そろろ
そろそろろ
四肢はいつくばって
獣が歩く
あれは俺だよ
俺の魂かっきりの
四部の情けが往くのだよ
くちびる結んで
耳凍らせて
往くのだよ
往くのだよ
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